蝉の声、あふれる木漏れ日。あれは遠い、遠い記憶の夏……。
6歳の夏。
引越しが決まった私は、街を離れるのがいやで、ずっと泣いてばかりいた。けれどその子は、私の指と自分の指を噛んであわせて、にっこり笑ってこう言った。
こうすれば、だいじょうぶなんだよ。こうして、ゆびとゆびをあわせれば、 ……そうしたら、ずっと、ずっといっしょだからね。 その晩からひどく熱が出た。
結局私は、うなされるようにしながらこの街を去った。 ……それに気づいたのはいつごろだったろう。悲しいことがあるたびに雨が降るようになり、そして、いつもだれかが、自分を見守っているような気がした。
そして、10年後。
父の海外赴任をきっかけに、懐かしいその街に戻ることになった。この街で、学校で、私の新しい生活がはじまる――――。
【PS2】水の旋律(通常版) 9月29日発売予定 予約